サラリーマンが副業で作った法人を損切り(解散)した話
合同会社の解散
そうだ、解散しよう!
ということで、2018年春に作った法人を損切りします。
せっかく作った会社でとても残念ですが、2年間という節目に対して検討し、幕を閉じる判断をしました。
サラリーマンが副業で設立した法人を解散する話はなかなかないので、恥ずかしながら晒します。
誰かの参考になれば幸いです。
設立した理由
まず、設立時のおさらいを簡単にしたいと思います。
私が当時主に稼いでいた仮想通貨の税金が、雑所得に分類されることが1番の理由でした。
アフィリエイトなども雑所得の分類です。
サラリーマンが副業で雑所得で稼ぎまくると・・
- 本業と合算の総合課税のため本業分まで増税する
- 累進課税で最大所得税率45%
- 専業主婦の妻の扶養が外れて、会社の家族手中止、配偶者控除中止、市の児童手当減額、妻の保健や住民税など新規追加・・
というようにとにかく損失がやばいです。
仮に1500万円稼いだ場合で算出すると、その60%以上が税金や実質減分でなくなる計算でした。
・・は?
(大勝した場合かつ個人の環境によります)
また、リスクを負っているので当然大敗もあります。
負けた場合はどうなるでしょう?
なんと負けた場合は本業の税金と合算はできないのです。
もちろん、株や不動産などと合算することもできないのです。
また、損失を次年度以降に繰り越すこともできないのです。
ひどいですね。
リスクを負って勝負しても勝ってもあまり手元に残らず、負けたら恩恵なし。
これではお話しになりません。
しかし、法人化すれば上記のほとんどの問題が解決しました。
さらに、個人と比較して経費にできる幅がかなり大きく、他の事業とも損益通算できる。
法人化するデメリットは、
- 設立費、維持費、税理士報酬等の法人化による別途費用
- 会社バレ
- 手間
この3点だけです。
会社バレはちゃんとやればほぼバレない。
私にとっては会社を設立して運営する、税理士を雇うなどの経験が、手間の10倍以上の価値があると考える派なので問題なし。
法人化による別途費用ですが、2年間チャレンジして失敗して止めても約100万円という試算でした。
(実際どうだったかは後ほど)
ということで法人化しました。
もし設立時の詳細が読みたい方は以下の記事群をどうぞ。 www.hanchooo.com
会社の決算状況
- 法人2期目(〜2020年春)
- 事業目的:仮想通貨、株・FX、アフィリエイト、不動産ほか
- 1期目:△400万の赤字
- 2期目:△250万の赤字(解散まで)
- 維持費:約30万/年(住民税:7万、税理士:19万、freee:2万、ほか)
ダメじゃん!w
なお、赤字には事業の損失だけでなく、経費分も含む決算書ベースの赤字です。
妻へのパート代なども含め、経費がだいたい年間100万程度計上していて、残りが事業の負け分です。
一見ダメダメですが、ある意味これも狙っていた状況の1つです。
経費および負け分をしっかりと繰越できているので、次年度以降の利益と合算して税金を削減できる、繰越税金資産の蓄積には成功しています。
△650万で、超ざっくり150万ぐらいの価値です。
仮に個人の場合だったら、雑所得の損失を次年度以降繰越できていないので、150万の差です。
(もちろん次年度以降稼げばですが。)
もし、その翌年に1500万円稼ぐと、試算したとおり税金や手当損失分などで実態で60%超のキャッシュ(約900万)を失います。
しかし、今の法人で翌年度に1500万円稼ぐと、赤字繰越分と法人経費で利益が圧縮でき、法人税の方が個人の累進課税より低いので、税理士報酬などを加味しても、ざっくり支出キャッシュは約200万で済むでしょう。
ことはそう単純ではないですが、その差700万です!
とまぁ残念ながら仮想通貨で法人設立後はうまく稼げませんでしたが、赤字は予定通り積み上げました。
しかし、当初想定していたチャレンジ期間の2年間が経ったよ。
という状況でした。
解散の理由
悩みました。
先述のとおり、せっかく蓄えた赤字資産を失うのがもったいないという気持ちと、法人化すらも一種の投資と割り切れば、早めの損切りも投資の鉄則ではないかと。
様々な要素が複合的に絡みに絡み合っているので、ここは確実に人それぞれだと思います。
私の判断事情は各個人には当てはまらないですが、参考までに。
小さい要素は数多くありますが、主な要素は以下の3つです。
- 本業会社の副業規定
- 不動産投資
- 仮想通貨市況
本業会社の副業規定
私はいわゆる大手企業に勤めています。
副業に関しては就業規則に抽象的なことが1行書いてあるだけで、暗黙の了解で副業禁止という雰囲気でした。
不動産投資ですら誰かが確認したところ、職務専念義務に違反するとかでダメとか・・(やばみ)
しかし、さすがに最近の世の中の流れを受けてか、最近別の誰かが確認をとったところ、大きく回答が変わりました!
- 他の法人に属してはならない(労働時間の管理とかの問題らしい)
- 個人名義で不動産やその他で稼ぐことは問題ない(ただし、本業に支障が出ないように)
おぉ!!
ついに古い体質のうちの会社でもきた!
よっしゃぁぁああああああ、あれ?
俺はダメやん。
他の法人に属してるっていうか、法人作って代表社員です。
逆に明確に回答が出たことで、明確に違反者となりました。
今までは規定が抽象的だったので、
「え?資産管理会社作ったらダメだとは思いませんでした~、ごめんごめん!」
みたいな感じでいざとなったら謝ろうと思ってたのに。
誰だよ、聞いたやつ。
というのが主な理由の1つ目。
不動産投資
すると、今始めようとしている不動産投資も絡んできます。
本来は、仮想通貨で儲かりすぎた場合に不動産を法人で購入し、損益通算で節税するのも目的の一つでした。
そのために、設立時の定款には不動産賃貸業も事業目的に記載しています。
(事業目的にない事業は行えません。)
ただし、実際は赤字状態となり、不動産はふつうに興味を持ったので始めようか検討すると、難しい現実がありました。
融資が厳しいです。
事業目的に株・FX・仮想通貨があり、2期連続赤字。
知る人からすると最悪とも言える条件!笑
しかし、今の私が不動産投資をするのであれば、融資でやらなければ意味がありません。
他人資本で戦えるのがメリットであり、株などの原資をまで削ってやる必要は私にはないです。
でも、法人で絶対に借りられないかというと、もちろん条件はいまいちですが、自己資金積めば借りれる場合もありました。
しかし、今後もし不動産を拡大していくこととして、あらゆるケースをシミュレーションしましたが、今の会社で不動産購入していくことは確実にデメリットの方が大きかったです。
融資条件が悪くなるというのは、金利差の分だけで純粋にその額を損するのと同義です。
幸いにも、私は社会的には信用のある大手企業のサラリーマンで、年収もそれなりなので、個人での融資条件はまあまあ良さそうでした。
また、前段で述べたように、本業会社で個人属性で不動産投資を行うことが正式にOKが出たので、不動産を購入するのであれば個人属性で購入します。
そのため、一度購入直前までいった物件もありましたが、先に法人関係をきれいにしようと思い、不動産投資は待ち状態です。
なお、余談ですが、新設法人で不動産を購入して拡大を早めるというプランも検討しましたが、リスク等を考慮して最初は個人属性で購入する判断をしました。
仮想通貨市況
私が仮想通貨を始めたのは2016年末頃で、その後の1年間はご存知のとおり、10年に一度のバブル市況でした。
億り人が続出し、私自身も最大で数千万(含み益)ぐらいはいきました。
しかし、法人を設立した2018年以降は長く低迷が続き、保有していれば価値が増えるという時代は終わり、FX勢が主役となりました。
私も当然稼ぎ目的で仮想通貨市場に入りましたが、ハマりすぎた結果、XP,XPC,BCOといった小さい仮想通貨や取引所を保有して応援する、ベンチャー投資のようなカタチで楽しんでいました。
しかし、仮想通貨全体の発展までは広がらず、弱小通貨や取引所は淘汰されていきました。
長く応援していたCryptoBridgeが閉鎖したことで、私の中での仮想通貨への興味は一区切りとなりました。
もちろん、仮想通貨自体にも興味はあるので、これからも情報や価格はある程度追っていきますが、この3年間のように最上位ではなく、3番手か4番手ぐらいの投資対象に格下げされた感じです。
また、もはやBTCぐらいしか触る気にならない今、半減期までに150万や200万はあるかもしれませんが、1000万にはならないでしょう。
うまくいってもその程度利益であれば、法人を維持しているだけの金額に対して、リスクを考慮すると割に合わなくなってしまいます。
数千万の含み益を逃して意地になる気持ちは当然ありましたが、去年の10月末に一旦すべて売却してノーポジにしてみました。
(その後暴落したので偶然にもいいタイミングでした)
そして、ノーポジ状態で客観的に見ると、「別に今からこれ1本で勝負するほどではないな」と思いました。
妻に話したら、
「やっとやめたの?」
と言われました。w
なお、勘違いしないでほしいのは、仮想通貨1本で法人を維持してまで投資するかという前提の話です。
単に個人属性などで仮想通貨投資する分には今のタイミングは悪くないと思います。
まぁ税制がひどいので、大金で勝負するなら、リスクとリターンが見合うかは税制を含め検討した方がいいですね。
結論
会社規定問題によって、不動産をやるなら個人属性でまずは買います。
すると、今の法人を維持していくにはほぼ仮想通貨1本。
しかし、仮想通貨への興味が一区切りを迎え、また、今後大勝ちする可能性は低そう。
そして、当初計画した2年間チャレンジするという節目。
が、いざ解散させるとなると、、
せっかく審査通して作った法人用銀行もクレカもやり直しになるし仮想通貨も今使ってるの法人用だし税理士さんとの連携もうまくいってきたしクラウド会計の操作も慣れたし楽しいし解散手続きは金も時間もかかって面倒だっていうしマイカーの名義法人に変えちゃったから戻さないといけないしせっかく貯めた赤字資産が…
その他諸々の事情を踏まえて総合的に悩んだ結果、、
損切りします!
という決断をしました。
契約が切れて損をするのに、親身になって相談に乗っていただいた顧問税理士のYさん、ほんとうにありがとうございました。
次回、また2社目を設立する際にも顧問税理士として頼みます!
信頼できる税理士さんを見つけられたのも貴重な資産です。
(実は最初の顧問税理士がひどすぎて1年で解雇、2人目です。。笑)
会社設立による損失額
会社を設立・解散したことによる損失額を計算してみます。
個人属性のまま投資していた場合と、法人を設立して投資したことによる損失の差額計算です。
設立時の計算では、約100万円でした。
実際どうだったでしょう?
「2年間チャレンジして失敗して解散させたらこれぐらいですよ!」
という参考に。
なお、もちろんあくまで法人を設立・維持・解散することによる費用分のみで、事業による損失は含みません。
例えば私の場合、仮想通貨取引の損失額は個人でも法人でも変わらないし、妻への給料、自宅の通信費や電気代の按分計上なども、個人でも法人でも家計内での支出がイコールなので、含みません。
設立費用や解散費用、登記費用や住民税、法人用備品の購入費用、税理士報酬などの法人を設立したことにより追加で発生した費用の合計額を、法人設立による損失額として算出します。
参考になるかな?
と思い、羅列(概算)で示します。
- 設立時税理士相談:無料
- 設立法定費:7万
- 設立時税理士報酬:無料
- 法人用印鑑:0.4万
- 謄本や印鑑証明書発行費(計20部ぐらい):1.3万
- 車の名義変更(2回):0.4万
- 住民税(2期分):14万
- 税理士報酬(1期目):14万
- 税理士報酬(2期目):7.5万 ※確定申告なし
- 解散税理士報酬:23万 ※確定申告、清算申告あり
- freee(2期目途中〜):1万
- 解散法定費用、官報掲載ほか:8万
合計:約76万!
おぉ〜、思ったより安い!
実は計算するのちょっとこわかったからよかった (^ ^;
法人設立して2年間チャレンジして、結果が出なくて解散した場合の法人にかかる費用は、
約76万円
でした!
法人設立は失敗だったか
あくまで個人の感想ですが、
法人設立して大正解でした!
もしかしたら強がりに聞こえるかもしれませんが、本音だし真実だと思ってます。
元々、フリーランスや起業されている方は別として、サラリーマンで法人を設立して運営して解散までする。
という経験は通常得られるものではなく、獲得した知見はどう考えても損失額よりも価値があると自信をもって断言できます。
今後もあらゆることに挑戦していく中で、知っていると知らないではスタートも過程も結果も圧倒的に違います。
社会の仕組みや事業の仕組みを知ったことで、本業の能力もプラスになるし考え方も全然変わりました。
もちろん、私なんかペーペー中のペーペーですが、周りのリーマンと比べると5段階ぐらいレベルが違います。
唯一失わない資産は知識
と最近誰かが言ってましたが、その通りだと思います。
ということで、法人の第一子は解散しました。
しかし、数年内にはおそらくまた作るでしょう。
実体験で理解しているので、事業がどの状態であれば法人化した方がいいのか、自分が代表か妻が代表か、定款や報酬体系の構築方法、という判断も簡単です。
ただ、属性を整理しただけで、投資やその他事業へのチャレンジをやめることは一切ありません。
引き続きいろんなことにチャレンジしていきますので、よろしくお願いします。
あまりにも長くなってしまったので、この記事はここらで終わります。
税理士変更の話や、自分でやった解散手続きの注意点など、参考になりそうな内容はまた別記事で書きたいと思います(たぶん)。
以上!